第18章 03

採掘船停泊所の端の出入り口からは、石畳の一本道が続いている。周囲には倉庫または貯蔵庫らしき建物が並んでいて時々、有翼種がその建物からコンテナや木箱を吊り下げて出て来ると、どこかへ飛んでいく。

ターさんと採掘船の一同は、その石畳の道をテクテク歩く。すると、途中で川が見えて来る。

上総「凄い、あの川、イェソド鉱石水の川だ。しかも川の周りにイェソド鉱石ゴロゴロ転がってるし!」

駿河「マジですか」

剣菱「昨晩ここを通った時に見た。夜だと川が光る。綺麗だったぞ。」

駿河「へぇ!…見たかったなー…。」

一同は川にかかる石橋の袂に差し掛かる。

メリッサ、河原を見て「うわ、すっごーい。ホント鉱石だらけ!」

皆、石橋の上から下の川を見て「おおー!」

アメジスト「イェソドエネルギーが流れる川だぁ!」

メリッサ「鉱石いっぱい!もうここで採掘しちゃおうよ!」

レンブラント「転がってる石を拾うだけで採掘終わりそう…」

護「でも明日採掘に行く場所はもっと凄いのだ!」

シトロネラ「これ以上凄いとこってどんななの」

上総「うーむ。…探知するとエネルギーだらけで訳わからーん!」

カルロス「だろう?」

護「どんなとこかは、明日のお楽しみ!」

一同は再びテクテクと歩き出す。

橋を渡ると右手には船の修理工場らしき建物が見えてくる。左手には石材屋の石置き場。

駿河「船の修理工場かな?」

ターさん「うん」と言い「あそこが昨日みんなで行った店」といい修理工場の隣の建物を指差す。

剣菱、駿河に「昔の倉庫を改装した店だった。酒美味かったぞ。またいつか行くからその時はご一緒に。」

駿河「ぜひ」

更に歩くと石材屋の建物が増えてきて、一同は石屋が立ち並ぶ石屋街に入る。

通りすがりの石屋や仲買人などの有翼種が、一同を珍し気に見る。

 「あれって人間の採掘船の奴だろ」

 「ブルートパーズと採掘した奴らだ」

 「あれが人間と人工種か」

一方ジェッソや穣たちは、周囲の石屋の石に興味深々。

ジェッソ「ほぉぉ…。なんか凄い石ばっかりだ」

穣「やっぱ石のレベルがハンパないわ…。」

一同は街の中のちょっとした広場のような場所に歩いていく。

ターさん、立ち止まると、皆に「ここが石屋街だよー」

カルロス「さて。ここからどうしようか。」

マゼンタ「…なんかジロジロみられてるんですけど」

護「やった。有名人になったぞ」

マゼンタ「ちがーう」

昴「本屋に行きたい」

護「あ、鉱石図鑑か。」

そこへ透が「護、なんか石のアクセサリー作れる店あるって」

護「うん、ブレスレットとか色々作れる。アクセ屋行こう」

そこへジュリアが「あのー」と言って「有翼種の食料品店を見たいんですけど」

護&カルロス「え」

ジュリア「どんな食材や野菜があるのかとか、調味料とか見たいの」

護「な、なるほ…。」

アキ「私も見たーい。料理道具とか見たいー」

シトロネラ「私、有翼種の服屋に行きたい!服をみたい!」

ネイビー「行く、服屋いくー!」

メリッサ「私も!」

悠斗「美味いものが食べたい!」

マゼンタ「俺も!なんか食べたい!」

カルロス「一体どーしたもんか」

護「もう適当に散開しちゃうか」と言い「飲食店とか石茶はアッチ」と石屋街の左手の路地を指差し、「アクセサリーとか食料品、本屋、雑貨、服はコッチ」と右手の路地を指差して「カルさん、食べる方行って。俺はアクセの方行くから」

カルロス「わかった。」と言い駿河に「何時に船に戻ればいい?」

駿河、一同に「ん。じゃあ皆、午後3時半から4時の間に船に戻る事!4時過ぎたり迷子になったりするとカルさんが探知する羽目になるので遅れないように!」

カルロス「探知代金1000ケテラな。じゃあ美味いもの食べたい人と石茶は私に付いて来て下さい。」

マゼンタ「はぁーいっ」

上総「はい!」

悠斗「おっす!」

護「本屋とか行く人は俺に。」

そこへ穣が「ちょい待って!石屋に行く人、誰か居ないの?」

ジェッソ「ここに居る!私は石屋で石を見る」

穣「おお!…あと誰かいない?」と一同を見ると「みんな採掘師なんだから石屋行こうよー」

メリッサ「ゴメン今日は定休日。服を見たいの」

昴「鉱石の本買って来ないと」

マゼンタ「ハラ減った」

穣「朝メシ食ったやん!まぁいいや俺とジェッソで石屋巡りする」

駿河、剣菱に「剣菱さんはどこへ?」

剣菱「ん。とりあえず食い物へ。アンタは?」

駿河「護さんの方に行きます。」

と、そこでふと護がちょっと離れた所に立って一同を見ているレイモンドに気づく「あ、レイモンドさんだ。」

ターさん「お、レイモンドさん!こんちはー」

レイモンド、何となく周囲を気にしつつ一同のほうに歩きつつ「こ、こんちは」

護、穣たちに「ケテル石の採掘道具を作る職人のレイモンドさんです。俺の白石斧を仕上げてくれた人。」と紹介する。

ジェッソ「あの斧を作った方ですか。」

レイモンド、ジェッソを見ると「うん。貴方、怪力だね。採掘師?」

ジェッソ「はい。」

レイモンド「貴方の採掘道具…どんなの?鉄製?」

ジェッソ「鉄製です。でもそのうちケテル石で出来た道具も使ってみたいと」

するとレイモンドの顔がパッと明るくなって「良かったら、ウチに見に来る?採掘道具」と言い「あ、変な勧誘じゃないよ、見るだけだよ」

ジェッソ「ええ、見に行きます!」

穣「行く行く。」と言い「行って来る!」と護達に手を振る

一同、「いってらっしゃーい」と見送る。

護、透や昴達に「俺達も行こう!」と歩き出す。

カルロスも「じゃあ行きますか」と上総やマゼンタ達を連れて歩き出す。

ターさん「どうしようかなー」と言うと「人数多い方に行こう」と護たちの方へ付いていく。


護たちは通りをテクテクと歩いていく。そんな彼らを通りすがりの有翼種達が少し物珍し気に見る。

ふと、透がとある店のショーウィンドーを見て立ち止まると「うわぁ…。」と感嘆の声を上げる

そこには美しい石のイヤリングや指輪、腕輪などが飾られている。

護「そこ宝石屋だよ。高いとこ」

透「うんうん!」

メリッサ達もショーウィンドーを見て目をキラキラさせ「きれーい」

マリア「こっちのネックレス、イェソド鉱石だよ!信じられない」

駿河たち「え」

駿河「イェソド鉱石が宝石?」

透「ちゃんとカッティングすればこんなにキレイになるのか!」

ネイビー「イェソド鉱石のアクセなんて初めて見た!」

アキ「だって人間は着けられないし。」

メリッサ「人工種専用のアクセよ。欲しいなー」

ネイビー「欲しいよね!」

剣宮「それ付けて人間に近寄らないでね」

駿河、ウンと頷き「危険なアクセだ」

レンブラント「値段ついてないぞ。いくらなのかな」

透「滅茶苦茶高いんだよ、絶対!」

護「…店の中、入ってみる?」

透「え。」(…ていうか、護が『宝石屋に入ろう』なんて…)マジマジと護を見ると、荘厳な感じの店の入り口のドアを見て「…でもちょっと…敷居が高くない?」

メリッサ「フォーマルな格好だったら入れるけど」

護「でもここ石屋街の近くだし、気にしなくても…。」

ターさん「いあ、そうでもないぞ!」

護「そうかな」と言ったその時、ドアが開いて格調高い服装の店の人が出て来ると、護たちを見て「おや。」と言い、暫し一同を見てから「宜しければ店内をご覧になられますか?」

護「え。…こんな格好ですけど、いいんですか?ちょっと見学だけ…」

店の人「勿論です。どうぞお入りください。さ、どうぞどうぞ」と勧める

護「ど、どうも」と言って中に入る。続いて透、マリア、アキ、メリッサ達が入る。

夏樹、店の人に「あ、俺達は、いいですので」

店の人「かしこまりました。」と言い静かにドアを閉める。

夏樹、外に残った男性陣にコソッと「入れないよな。」

剣宮&駿河「ウム。」

総司「さすが十六夜の人工種は違う。」

健「でも、あの護さんが宝石屋に入るなんて」

良太「かなり信じられない」

駿河「そうなのか」

剣宮「うん。イェソドに流されてホントに変わった…。」

夏樹、周囲を見て「良く見たらあっちの店も宝飾店だ」

リキテクス「あっちもだ。この辺りは宝石屋街か」

ターさん「うん。実はここ、一番高い店!」と護たちが入った店を指差し「宝石屋は俺もなかなか入れないよ。よく入ったなー」と笑う

良太「びっくりだー!」


10分後…ドアが開いて護たちが店から出て来る。

店の人「ぜひまたお越し下さいませ」と言いドアを閉める。

護「あ、ありがとうございました。」と閉まったドアに向かってお辞儀する

透、ため息ついて「すっ…ごい所だった…。」

夏樹「どんなとこ?」

透「石が美しすぎて…。もぅー…。」

メリッサ「どんな石もちゃんと磨けば美しくなるのねぇ…」と溜息をつく

護「でも俺は原石の方が好きだー!」

剣宮「あのネックレスいくらだった?」

アキ「教えてもらえなかった。」

護「石を愛する人の元に行くから値段は関係ないとか言われた。」

駿河「洒落た事を言う…」

透「とにかく普通のアクセ屋行こう…」と言い歩き始める。一同もそれに続いて歩き始める。

そこへレンブラントが「あ!」と何かを見つけると「あれってもしかして画材屋?」と道の先にある一軒の店を指差す。

護「…かなぁ?」

ターさん「うん、画材もあるし事務用品とかもある。」

レンブラント「文房具屋か。俺あそこ行きたいんで行ってもいいか?」

護「…画材好きなの?」

レンブラント「趣味が絵を描く事なんだよ」

駿河&静流&護「えぇ!」

レンブラント「意外だろ」

静流「意外です。今度見せて下さい!私も画材屋行きます!」

総司「え。静流さんも絵を描くの」

静流「ちょっと描きます。」

駿河「ほー!」

総司「今度見せて」

静流「恥ずかしいから嫌です。」と言うと「行きましょうレンブラントさん!」

レンブラント「おー!」と言って画材屋へ走って行く2人。それを見つつ

総司「…レンブラントさんと静流君が意気投合するとは…。」

駿河「意外すぎる組み合わせだよな。…皆、意外な趣味もってんだな…。」

と、そこで透が右手の建物を見て「お、銀行だ。」

マリア「あっち郵便局かな」

夏樹「レストランがある」

護「この辺の飲食店はちょっと高いよ」と言い「あの辺に本屋がある」と少し先の商店街の一画を指差し「その先に食料品店、雑貨屋…まぁあの辺に色々あるから好きなトコ行って」

昴「ヨシ、本屋だー」と走って行く


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