2024.04.23 16:00第5章04 次の日の朝。 ターさんは護とカルロスと妖精が入った木箱を吊り下げて、晴れた空を飛んでいる。 護は無精ひげとボサボサ頭で眠そうなカルロスを見てちょっと笑うと「起きぬけに強制連行されてるし。目、覚めてる?」「んー」カルロスは唸って「気づいたらソファで寝ていて朝だった。いつ寝たんだ……」と欠伸をする。「眠そうだけど、俺達仕事あるし、家に貴方一人だけ置いとく訳にも...
2024.04.23 15:59第5章03 翌朝。「……カルロスさん。カルロスさん」 誰かに肩を叩かれて目を覚ますと、目の前に護が立っている。「ここ掃除するから部屋のベッドで寝てほしいんだけど」「ん」 ふと見れば自分の身体の上に毛布が掛けてある。「あのまま寝てしまったのか」と言いつつカルロスは上体を起こす。目をこすりながら「今、何時だ」「何時でもいいやん。あっちの部屋で寝てろって」と右奥のドアを指差...
2024.04.23 15:59第5章02 午後4時。 一行は家に到着し、ターさんは木箱をゆっくりと玄関前に下ろす。護は木箱の中で眠ってしまったカルロスを起こしてその身体を支えつつ木箱から出す。「カルロスさん、まずシャワー浴びといで」 ターさんが言うと、護が「お風呂場こっち」と案内する。脱衣所の床に置かれた籐の篭を指差して「脱いだ服、この篭に入れて。俺が洗濯するから」「申し訳ない」「気にすんな。お互...
2024.04.23 15:59第5章01 自分の能力をフル活用して森の中を走り続けたカルロスは、ようやく湖に出る。 荒い息をしながら「やっとだ」と呟くと大きな岩の傍へ行き、へたり込むように岩に寄り掛かり座り込んでタグリングを押さえる。「やっと、管理波を振り切った……」 上を向いてアハハと笑いつつポロリと涙を流す。……これで、全てを失った。 肩から斜め掛けにしたショルダーバッグから小さなチョコバーと...