2024.04.22 16:15第4章04 大発見 黒船はアンバーから離れて真っ白な雲の中を飛び始める。 通常、航空管理の管理波があれば、常にレーダーにジャスパー採掘船本部の方角が示されるが、今既にそれは無く、つまり黒船は管理波から外れ、レーダーが感知できるのはアンバーだけになっている。アンバーがレーダーから消えれば、あとは上総の探知しかないが、今の駿河に不安は無かった。真剣に探知を続ける上総を見ながら駿河...
2024.04.22 16:11第4章03 大捜索 カルロスは必死に森の中の獣道を走る。 相手の探知を妨害しながら相手を探知するのは慣れているが、走り続けながら複数の存在に対してそれを行い、更に自分の進路も探知するというのは前代未聞の荒業で、心の中で愚痴を言う。 (首が、苦しい……。管理波が、更に強烈に……。しかもアンバーの探知まで参戦して来やがって、難易度上げるなよ全く!) 草を掻き分け、木の枝なのか蔦な...
2024.04.22 16:10第4章02 カルロス逃亡 翌朝。 快晴の澄み渡った空を飛ぶ黒船の採掘準備室では、一同が今日の作業の準備をしている。 船内スピーカーからピピーという音が鳴り『現場到着まであと10分です』という駿河の声。それを聞いたジェッソは道具の入ったコンテナを壁際に置いて、一同に「そろそろ整列するかー」と呼び掛ける。「ほーい」「ういっす」 各自、個性豊かな返事をしながら横並びに並び始める。「今日の...
2024.04.22 16:10第4章01 穣の鬱屈、カルロスの嘘「なんか力が出ないなぁ」 疲れた顔の悠斗がスコップ片手にボソリと呟く。 とある崖下の林の中で採掘作業をしているアンバーのメンバー達。すぐ上にはアンバーの船体が上空待機している。 穣もはぁ、と溜息をつきながら崩したイェソド鉱石をスコップですくってコンテナの中に入れる。周りを見ると皆、ダラダラと作業していて覇気が無い。そりゃヤル気も失せるわな、俺も疲れたと思いな...
2024.04.21 16:01第3章03 新しい世界 数日後の朝。 護はターさんの吊り下げ木箱に乗って快晴の空を飛んでいる。果てしなく続く紺碧の空を見ていると、この空のどこかにアンバーやブルーがいるんだなぁという思いが浮かんでちょっと切ない気持ちになる。 (皆、元気かな。会いたいな。会って、謝りたい。特に、穣さんと透に。以前の俺は石頭で、色々と酷い事を言ってしまった。更に事故って行方不明になって……) 俯いて...
2024.04.21 16:00第3章02 苦悩の渦 既に日が落ちた夜7時、ジャスパーの採掘船本部。 駐機場に停まっているアンバーの船内食堂に、剣菱と穣がいる。 二人はテーブルを挟んで向き合って座り、ポテトのスナック菓子を摘まみつつ、缶ジュースを飲んでダラダラしている。他には誰も居ない。穣はテーブルに片肘を付き、もう片方の手でジュースの缶を揺らしながらポツリと呟く。「やっぱ酒が飲みたいな……」「船内、お酒禁止...
2024.04.21 15:59第3章01 有翼種の街 2日後の朝。 護入りの木箱を吊り下げ浮島の上空を飛んでいたターさんは、ケテル石が採れる場所に到着すると、ゆっくり木箱を降ろして着陸する。 木箱から護が出て来るのを待って「多分、君は黒石剣よりこっちの方が合うと思うんだ」と言い自分の斧を見せると「今日は君の白石斧を作ろう」「俺の?」「うん。まずは斧の刃になりそうな硬いケテル石を探して、黒石剣で板状に切る。幅と...
2024.04.20 17:03第2章04 心 一方その頃。 浮島で採掘中の護は思いっきり楽しそうに「よーし次はアレだー!」と叫んで妖精と一緒に走りながら、見つけたケテル石を黒石剣で叩き切り、切った石をうっとり眺めて「いい石だなぁ」と満足気。「やっぱり石っていいなぁ! 採掘は楽しい!」 幸せそうな護の周囲を妖精がポコポコ跳ね回る。そこへターさんが木箱を吊り下げて飛んで来る。「護くーん、そろそろ終わりにし...
2024.04.20 17:02第2章03 鎖 エネルギーを上げたまま強烈な探知を続けるカルロス。その顔に徐々に不安の色が浮かぶ。 (おかしい。なんだこの不安は……。もしかして彼は既に死んでいて、私はそれを探知するのが恐いのだろうか) 船の周囲の天候が変わり始め、視界が徐々に悪くなる。 総司が不安げに呟く。「なんか曇って来たな……」 その言葉が更にカルロスの不安を煽る。 (……こ、恐い。なぜだ、なぜこん...
2024.04.20 17:01第2章02 護 空飛ぶターさんが吊り下げる大きな木箱に載った護は、目を輝かせ、ワクワクした顔でキョロキョロと周囲の風景を眺める。「わぁ……! 空って広いなぁ!」 護が嬉しそうに呟くと、ターさんが怪訝な顔で「空、飛んだ事ないの?」「今まで何度も採掘船で飛んだよ、だけどこんなに風を感じた事は無いし、こんなに空を見る余裕なんて無かった! ……あっ、あれは何?」 前方に、空に浮か...
2024.04.20 17:00第2章01 黒船 翌朝、夜明け前。 アンバーは洞窟から少し離れた林の中の、木々の隙間に埋まるように着陸して停泊している。 その船体上部の、時に積み荷を載せる事もある平らな甲板に、誰かが2畳程の作業用シートを敷きその上に毛布を被って横になっている。 そこへカチャッと音がして甲板ハッチがゆっくりスライドして開くと、首にタグリングが付いていない眼鏡を掛けた若い男が頭を出して「んぁ...