2025.01.29 09:14第12章03 剣菱の想い 全速力で死然雲海を飛び続けるアンバー。 護は真っ白な窓を見ながら思う。 (結構カッ飛ばしてるなぁ。これだと結構早くターさん家に着きそうだ) 景色が無いので窓を見ても速度感はあまり無いが、エンジン音で結構な速度を出していると分かる。 (なんかホッとする。やっぱり自分はイェソドがい...
2025.01.28 09:53第12章02 イェソドへ戻る 操縦席のネイビーが言う。「そろそろ管理区域外に出ます」 やや不安気な面持ちでブリッジの一同が様子を見ていると、少しして警報が鳴り『管理区域外警告』が出る。「あら」 ネイビーは少し驚いたように「……あ、多分これ絶対出るのね」と言い、剣菱も「うん多分、仕様なんだな。単なるお知らせ、...
2025.01.27 09:08第12章01 珍獣扱い 翌朝の9時40分、ジャスパーの航空船教習所。 ロビーの受付前に並んだ長椅子に、グレーのスーツ姿のカルロスと護が座っている。周囲には学生らしき若者が数人と中年近い男性がちらほらいて、長椅子で教本を読んだり自販機の所で缶コーヒーを飲みつつスマホを見たりしている。 護はふぁぁと欠伸を...
2025.01.26 09:12第11章04 駿河 何と言葉を返したらいいのか皆が戸惑っていると、それまでずっと黙って話を聞いていた駿河が突然、声を上げる。一同の中央に置いてあるテーブル代わりの小さなコンテナにコーヒーのカップを置いてから「周防先生、俺は黒船で、貴方をイェソドのカナンさんの所へ連れて行きたいと思います!」 思わず...
2025.01.25 09:08第11章03 周防の過去 周防は話を続ける。「ところで私のナンバーはATL SK-KA B02で製造師記号が二つ入ってる。KAは神谷俊明、SKは周防和臣。この和臣という製造師は人工種の進化の為に有翼種の遺伝子が必要だと考えて、イェソドを探す為に神谷さんと一緒にB02を作り始めた。しかし私が生まれる直前に...
2025.01.24 10:37第11章02 昔話 アンバーと黒船は霧島研を離れ、SSFに向かってアンバーを先頭に飛び始める。 黒船の採掘準備室では、周防の話を聞きたい人々が折り畳み椅子や小さなコンテナを並べて輪になるように集って座り、突発的な『お茶を飲みつつ話を聞く会』が開かれようとしていた。 周防の右隣には護、メリッサ、昴が...
2025.01.23 07:01第11章01 溜息「なんか絶望したなぁ……」 霧島研の屋上で、ジェッソの隣に立つ駿河が溜息混じりに呟く。円になって立ち話をしているジェッソと駿河、上総、昴、夏樹そしてレンブラントの六人。 建物から少し離れた上空には黒船とアンバーの船体が並んで待機していて、屋上に停めてある管理の小型船が移動して着陸...
2025.01.22 10:52第10章05 対峙、……そして。 自分達の想いが全く伝わらない、この悔しさを一体どう表現したものかと悩むカルロスや穣達。 そこへ周防が「護君、ちょっとこれを外してくれるかな」と自分の首に巻かれたベルトを指差す。 護は申し訳なさそうに「すみません、もう暫く人質を」「いや、人質というかね……」 周防は暫し黙って考え...
2025.01.22 10:51第10章04 対峙 能面のような表情で穣をじっと見つめる四条。 そこへ護の傍の階段に座っている周防が「……未だかつて人工種が、ここまで反抗した事は無かった」と静かに呟き「前代未聞の事態。逆に言えば、やっとここまで来たという事です。……長かったな……」と目を閉じる。 四条は周防の方を見て「まさか、こ...