第8章04

 アンバーのブリッジでは、マリアが喜びに顔を輝かせて大きな声を出す。

「近づいてきた、もう少し……わぁ、凄い!」

 ネイビーが操縦しながら不思議そうに「どしたの?」

「行けば分かるの!速度を落として!」

 剣菱は溜息をついて「何が何やら」と腕を組む。

「この辺りで止まって!もうすぐ来るから!」

 マリアの指示にネイビーが応える。

「はーい。停船します」

「ん?」と穣が何かに気づいて船窓前方を指差し「うっすら何か見える。霧が薄くなっ……、て、……ええっ?!」

 思わず前のめりになって目を凝らす。

 剣菱も「ええ?!」と腕組みを解いて身を乗り出し前方を見る。

 剣菱と穣とネイビーが、同時に叫ぶ。

「飛んでる!」

 穣はブリッジ入り口の透に向かって「透、すげぇよ護が飛んでる!」

 その声に、入り口付近に居たメンバーがブリッジ内に入り、船窓の先に見える吊り下げ木箱で飛ぶ三人を見て驚きの声を上げる。

「ホントだ飛んでる……」呆然とする透。

 マゼンタも「箱が飛んでる!」

 悠斗も「ど、どうやって……」

「凄い、ホントに有翼種だよ、ホントに翼があるよ!」とマリア。

 剣宮は「それよりあの箱に入ってるの、イェソド鉱石では?」

 マリアは大きく頷いて「そうイェソド鉱石!さすがカルロスさん、そこまで探知したのね……」

「燃料、持ってきてくれたぁぁ」剣宮は万歳をする。

 穣が苦笑しながら「あの野郎、なんつー登場の仕方を!」と手を叩いて喜ぶ。


 ターさんはアンバーのブリッジ前方に近づきながら「こんにちはーはじめましてー」と叫ぶ。

 護も「みんなー久しぶりぃー!」とブリッジの皆に手を振る。

 カルロスは仏頂面で立っている。


 穣はブリッジの窓から「上、上だ護!」と両手で上を指し示すジェスチャーをする。

「出迎えだ、皆!」剣菱の声と共に、穣も「上部甲板、行くぞ皆!」

 マゼンタは「よっしゃーカッコいいヒーローを出迎えるかぁ!」と叫び

 オーキッドは「ヒーローだヒーローだ!」と叫びながら、皆と共にブリッジから走り出る。


「ターさん、船の上へ」

 護の指示に「了解」と答えたターさんは、アンバーの上部甲板へ飛びながら

「これが君達の採掘船か。凄いね、思ってたよりずっと大きい」

 その時アンバーの上部甲板ハッチが開くと、穣達が出て来て「護!」と手を振る。

「穣さん!」

 ターさんはその近くに木箱を降ろす。護とカルロスも木箱から甲板に着地。

 同時に穣が「護ううう!!」と叫びながら護に駆け寄り、ガッと抱き締める。

 続いて透も駆け寄り、穣ごと護を抱き締める。

 穣は泣きそうな掠れ声で「お前……、もう、二度と会えんと思った……」と呟くと、しっかりと護の肩を掴んで微笑み、喜びを噛み締めるように大きな声で言う。

「生きてて、無事で良かった!」

 護も涙ぐみつつ「ゴメン、心配かけた」と言うと、透と穣を交互に見ながら「皆、元気そうで良かった!」と言い、ちょっと目を擦って恥ずかし気に微笑んでから自分の背後に居たターさんの隣に並ぶ。

「俺、川に流された後、この人に助けてもらったんだ。……有翼種のターメリックさん」

 ターさんは穣と透に挨拶する。

「初めまして。ターメリック・エン・セバスと申します」

「今、この人の家にお世話になってる。彼が居なかったら俺は死んでたかも」

 穣はターさんの手を取り、固い握手をしながら

「護を助けてくれて、本当に、本当にありがとう、感謝します。俺は十六夜穣と申します」

 ターさんは護を見ると「彼は何番目のお兄さん?」と聞く。

「次男だよ。こっちが末子」と透を指差す。

「十六夜透と申します。どうぞ宜しく」

「ああ、スイーツが好きだっていう」それから二人を見て「ようこそ、死然雲海へ」と微笑む。

「死然って、……やっぱり、ここが?」穣の問いに、頷くターさん。

「はい。ここは死然雲海というエリア」

 そこへ護が「あ、ところで燃料用の鉱石採って来たよ!」

 穣は「うんうん!ありがたい!」と頷き「もしかしてアイツが探知してくれたのかな!」とカルロスを指差す。

「そうそう!アイツが探知した!」

「アンタも無事だったかー!」

 カルロスは仏頂面で「……護と、ターさんのお蔭で無事だった」と呟く。

「そっか!じゃあ早速、中へ!……怪力メンバー、鉱石を」

 穣が少し後ろに居る悠斗達を見る。

「了解!」

 悠斗と健が木箱を持ち上げた途端、妖精がポンと悠斗の頭に乗る。

「わぁ!こいつ、あの時の!」

 透が悠斗を指差して驚く。悠斗は頭に何が乗っているのか見えずキョトンとする。

「それは鉱石の妖精だ」

 カルロスの言葉にメンバー達が更に驚く。

「よ、妖精?!」

 マゼンタは「あー、だから石を持ってったのかな」と呟き、マリアは「カワイイ」とニコニコする。

 カルロスは続けて「まぁ私と護を助けてくれた奴らだな」

 透はまた驚いて「え、これが?」

 悠斗は「頭の上が見えないー!」と騒ぐ。

 穣が「とりあえず船内に入ろう。そしたら頭の上の奴も見れる」と言い、悠斗と健は木箱をハッチから船内に入れる。続いて護やカルロス達、そしてアンバーのメンバー達が船内に入る。

 護は穣に「あ、穣さん。中の鉱石をコンテナに移して欲しい。鉱石の下に箱があって、そこに荷物とか入ってるんだ」と頼む。

「オッケー。悠斗、ちとその作業頼むわ」

「ほいさ!……あ、いや待った。これ機関室に持ってった方が。燃料用だし」

「確かに!」穣はパチンと指を鳴らして「燃料コンテナだな、ナイス悠斗、宜しく頼んます!」

「うむ」

 悠斗と健は、船体後方の機関室へ移動を始める。穣は護達三人に

「お前らはとにかくブリッジへ。船長が待ってる」

「うん。ターさん、カルさん、こっちだ」

 護はブリッジの方へ通路を走る。後に続くターさんとカルロス。

 穣は内心ちょっと驚く。

 (……カルさん?……って、言ったよな、あいつ?)

 ブリッジの入り口には既に剣菱が立って待っていた。

「護!」

「船長!」

 剣菱は護に駆け寄るとガシッと肩を掴む。

「お前、良く無事で……!」

「大変ご迷惑をお掛けしました!」

 護の肩を少し揺さぶりながら、剣菱は安堵の笑みを浮かべて言う。

「なんだ随分と元気だな、良かった。あれから一体どうなったんだ?」

「彼に助けて頂きまして」護はターさんを紹介する。

「有翼種のターメリック・エン・セバスさんです」

 剣菱は思わず「おお……」と感嘆の声を漏らしてから「有翼種。本当に飛ぶんだな、いや驚いた!」と言い、

「私は人間の剣菱夏生と申します」と一礼する。

 ターさんは「私も人間にお会いしたのは初めてです」と言い、ちょっと一礼してから

「人間と人工種が乗る採掘船も初めて見ました。有翼種の採掘船とは全然違う」

「有翼種の採掘船?」

 護が説明する。

「彼も採掘師なんです。俺達は今、向こうで一緒に採掘師をしています」

「ええ?」剣菱は驚いて「お前、採掘が嫌だったんじゃ」

「今は楽しい!向こうの採掘はこっちと全然違うんです。例えばカルロスさんが持ってる黒石剣とか」

 護が一同の少し後方に立っているカルロスを指差すと、カルロスはホルダーから黒石剣を抜いて皆に見せる。

 思わず穣が驚いて「その石!」と指差す。

 護は「見覚えあるだろ」と笑い、「これ採掘道具で、イェソド鉱石の変種なんだってさ」

 途端に剣菱が慌てて「えっ、イェソド鉱石?!」

「あ、黒石剣は人間が触っても大丈夫ですよ。エネルギーの質が全く違うので」

 ターさんの言葉に剣菱は「よ、よかった」と安堵し「ちなみにアンタも無事でよかった」とカルロスを見る。

 カルロスは無表情のまま「ところでアンバーはなぜここへ?」

「アンタと護に会いに来た。アンタはどうして黒船から逃げたんだ?」

「……護の所へ行きたかった」

「なぜ?」と同時に穣も「なんで」と聞く。

 渋い顔で暫し黙ったカルロスは、めんどくさそうに答える。

「んー、まぁ、黒船という狭い世界を飛び出して新しい世界に行きたかった、という所かな」

 穣は「俺達も同じだ」と言うと「護やアンタが行った世界に行ってみたくて飛び出した。可能性を広げたくて」

 すると護がハッとして「……可能性を広げる!」と呟き「なぁカルさん!船が来たよ船が!これで木箱でターさんに運んでもらわなくても移動が出来る、しかも大量の石を運べる!長距離飛べるから、あらゆる所で石を採って色んな所で売れる!」

 カルロスはちょっと驚いたように「まぁ、それはそうだが」と言うと「私はターさんのような個人採掘師として立ちたい。それでアンバーや有翼種の採掘船と契約するというならアリだが」

「なるほ。するとやっぱり小型船が要るねぇ」

「ちょ、ちょい待て」穣が口を挟む。

「あらゆる所で石を採って売るって……?」

 護は穣の方を向いて

「例えばケテル石なんか、ジャスパー側では鉱砂しか採れなくて貴重だけどイェソドだと鉱石柱が生えててメジャーな石材なんだよ!逆にマルクト石はジャスパー側だとメジャーな石だけどイェソドでは滅多にない貴重な石だし。アッチとコッチを橋渡しするような仕事が出来たらいいなあと」

 驚いた目で護を見る穣と剣菱。

 穣は「それだ。護、それだよ!それ、やろう!」と拳を握る。

「でも俺、やっぱりなぁ……」

「何か問題が?」

「実は俺さ、ターさんの家の近くに自分の家を建てたいんだ。だからアンバーと一緒にってのは無理だなぁ」

「……は?」

 穣は驚きで目を最大限に丸くして「お前が、家?」

「うん。俺、イェソドで暮らすから。俺の家はアンバーがイェソドに来た時の休憩所にするんだ!」

 ニコニコする護に、穣は思う。

 (な、な、なんだこの護は……)

 穣や剣菱のみならず、遠巻きに話を聞いていた透やマリアやマゼンタ達も唖然として護を見る。

「お、……お前、変わったな……」

「そういや穣さん、どうしたのその制服!キチンとして」

「えっ。まぁ、その」

「似合ってる!やっぱりアンバーの採掘監督は穣さんだよね!」

 満面の笑みを浮かべる護に、アンバーのメンバー達は驚きで声が出ない。

 透が信じられないという面持ちで言う。

「こんな明るい護、初めて見た……」

 その言葉に穣はウン、と深く頷き真剣な眼差しで護に問う。

「お前、ホントに変わったな。向こうで何があったん!?」

「何って」

 カルロスが呟く。

「ドンブラコしたな」

 剣菱は護の肩を掴むと、懇願するように

「ま、護。お前一体、どんな所で暮らしてるんだ?お前が暮らす世界を是非見たい!これから早速そこへ!」

 カルロスが「その前に一つ問題がある」と口を挟む。

「何か」

「黒船が管理を連れてウロウロしてる。私がずっと探知妨害してるがしつこい。このままだと奴らもイェソドに来る」

 ハッと我に返る剣菱やアンバーの一同。護が怒りを露わに叫ぶ。

「それだけは許さない。黒船はともかく、管理は絶対イェソドに入れない!」

「ならば、護。一旦ジャスパーに戻らないか?」

「え?」

「向こうには貯金がある。それで船を買って、そこからスタートした方がいい。今なら向こうに戻れる」

「……でも」

「そもそもお前の願いは死然雲海を跨いでアッチとコッチを繋ぐ採掘だろう?管理を気にしてたら何も出来ないぞ」

「確かにな……」

「どのみちアンバーは向こうへ戻って管理と対峙する事になる。その覚悟で来た筈。であれば私も行くしかない。自分がやりたい事の為に最善を尽くしてその結果どのようになろうとも、今はイェソドというもう一つの生きる世界があるし」そこで一旦言葉を切ると、

「私は管理に捕まって向こうへ行く。そしていつか必ず船を買ってターさんの所へ戻る」

 護は呆れたようにカルロスを見て

「ってカッコつけて何言ってんだか全くもう」

「うるさい。お前なんか何の覚悟も無くただドンブラコと川を流れてイェソドに来ただけだろうが」

「しょうがないじゃん!」

「お前は向こうに戻っても大して責められんからいいよなぁ!」溜息をつくカルロス。

「ていうかアンタよく黒船から逃げたよね!俺なら絶対出来ないんですけど!」

 ターさんがアハハと笑い、穣は思わず尋ねる。

「あの、こいつらいつも、こんなですか?」

「うん!」

「はぁ」穣は放心したように呟く。

「護、マジで変わったな……」

 透もアハハと苦笑して「なんかもう護じゃないみたいだ……」

「うん。随分変わったよ」

 ターさんの言葉に透が「やっぱ、そう思います?」と聞くと

「だって護君と出会った当初は、人工種って、どんだけ過酷な状況で生きてるのかと思いました」

 苦笑するターさんに、透は小さく「ですよね……」

 腕組みして、何か思案気に話を聞いていた剣菱は

「そうか……もう一つの生きる世界。そう、それだ」と呟き「選択の幅が狭い、『これしかない』と思ってしまえば怖くて挑戦できなくなるが、沢山の可能性、沢山の選択肢があるとなれば……」と言ってカルロスを指差し「アンタと護は今、それを拓いてくれたんだ!例え全てを失ったとしてもまた新たな人生を生きられるという事を!」

「全て失った訳じゃ無い。貯金をこれから取りに戻る!」

 護が続けて「よしわかった俺も一緒に行ってやる。だって家を建てたい」

「その前に船だ!私とお前で一緒に買うんだ!」

「えー。アンタ黒船勤続13年だから1隻くらい買えるんじゃ」

「ってお前、人の船にタダで乗るつもりだったのか!ドンブラコめ」

「わかりましたキッチリ折半しませう!」

 剣菱は二人をなだめる仕草をしながら

「……もしもし。あのな、船買うのって大変だぞ。俺の知り合いに中古船の販売屋いるから紹介……ってアンタら操船免許どうすんだ。免許ないと船買えないぞ」

 カルロスは悔し気に「クッ、やはりそうなのか」

 護も「免許とらなきゃー!」

 透が首を傾げて「でもさ人工種は船長になれないし、船なんか買えるのかな」

 途端に護が「やってみなきゃわっからーん!」と叫び、穣が苦笑する。

「すげぇ。護の言葉とは思えん」

 それから護の肩を抱きよせて「可愛くなったなぁ、お前!」

「はぁ?」

 カルロスは溜息ついて「そろそろ黒船の探知妨害するのがめんどくさくなってきた!どうする護!」

「どうって、貯金取りに戻る?」

 穣は「話しながら、よく妨害できるわな」とカルロスに言ってから剣菱の方を向く。

「じゃあ船長、Uターンしてジャスパーに戻りますか」

 剣菱は「うん」と頷き、護は「えっ」と驚く。穣は護を見て

「だってお前ら船買いに行くんだろ?自分の船を持つまでアンバーに乗ってろよ」

 更に剣菱も言う。

「二人で船を持たせろと騒ぐより、皆で騒いだ方がいい。それでダメだったらまた皆で逃亡すりゃいい」

 ターさんは皆を見て「俺も一緒に行った方がいいのかな?」

 護が答える。

「いや、ターさんはイェソドで待っててほしい。俺、ターさんにはまだ、向こうの世界を見せたくないんだ」

 穣は「んー」と悩みながら「でも一緒に行った方がいいんでは?管理の奴らに有翼種の実在の証明が出来るし」

 剣菱は「いや、どうだかな」と言い「いきなり連れて行くと混乱するかもだぞ。実在の証明ならこの二人で十分だと思う」と護を指差して「こんな長期間、行方不明だったのに元気いっぱいな奴らを見たら、有翼種の存在を否定も出来ないだろ」

「確かに」穣は納得して「まぁ管理とのゴタゴタに彼を巻き込むのも申し訳ない」

 ターさんは「分かった」と頷いて「じゃあ妖精と一緒にイェソドで待ってる」と微笑む。

「船買ったらすぐ戻るから!」護が言うと、穣も

「ってかウチの船、また来ますんで、その時こそイェソドへ」

「ほい。それじゃ木箱持って家に戻るね。君達の船、楽しみにしてるよ!」

 それから剣菱の前に立って「では船長、失礼します」と一礼する。

 剣菱も「貴方のお蔭で本当に助かりました」と一礼し「またお会いしましょう!」

 護が「じゃあ木箱の所へ行こう。多分、採掘準備室に置いてある」とターさんを案内する。一同は通路を歩いて階段の方へ。


 採掘準備室の一画に置かれた木箱の所へ行くと、ターさんは中から白石斧を取り出して護に渡し、小箱から弁当の巾着袋を取り出して二人に聞く。

「弁当いる?」

 カルロスが「要る。ハラが減った……」と返事する。

「だよね。じゃあこれ」と言いおにぎりをカルロスと護に渡す。

「水筒はいいよ」護が言うとターさんは巾着袋を木箱の中に入れて

「ほい。じゃあ俺は途中で妖精と一緒に雲海ランチして帰ろうっと」

 そこへ穣が「採掘口開けまーす」と言い、操作盤のレバーを下げる。

 開き始める採掘口を見て「おお!開くんだスゴイ!」と歓声を上げるターさん。

 護は「今度、人工種の採掘をターさんに見せてあげるよ」と言い、ターさんは「楽しみにしてる」と言って妖精が入った木箱を吊り下げて飛び上がり、開いた採掘口の真上に行く。

 カルロスはターさんに真剣な顔で告げる。

「必ず戻って来る。それまで暫しのお別れです」

「うん。待ってる」

 微笑みを返したターさんは「頑張って!じゃあまたねー!」と言い手を振りながら採掘口から降下し、外に出る。

 アンバーの一同も、手を振って見送る。

「またね、ターさん!」

 穣はターさんが採掘口の周辺から去ったのを確認すると

「よっしゃ。じゃあ黒船や管理の皆様に会いに戻るか!採掘口閉じるぞー」

 カルロスが穣に聞く。

「ではそろそろ探知妨害やめてもいいかな」

「続けてもいいよ!」

「流石にちと疲れた。これ食ってもいいか」とおにぎりを指差す。

「ん、そうだ!ここで軽食タイムにしよう。アキさんが、おにぎりとか作ったと言ってた。皆がそれ食べ終わるまで探知妨害続行よろしう!」

「なんだと……。仕方がない食べながら妨害してやる」

「さっすがあ!」


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