2024.05.25 05:50第8章03 剣菱と駿河 一方、雲海の中で空中停止し休憩中のアンバーでは、ブリッジ前の通路で皆がお茶を飲んだりクッキーやチョコを摘まむという、前代未聞の珍しい状況になっていた。通路の真ん中にテーブル代わりに三つ置かれた丸椅子には、コーヒーを淹れたサーバーとお茶を淹れたポット、そしてお菓子の入った箱が置か...
2024.05.25 05:47第8章02 首輪 死然雲海の真っ白な世界を飛ぶアンバー。 ネイビーが必死に操縦しながら怒り心頭で叫ぶ。「ああもぅしつこいな管理! 何で雲海の中まで来るの、そろそろ諦めてよ!」 隣に立つマリアも探知しながら「管理が離れてくれないと、遺跡に行けない!」「もうメンドイから管理と一緒に遺跡行っちゃえ!」...
2024.05.25 05:47第8章01 未知への出航 数日後の早朝、ジャスパー採掘船本部。 駐機場に停まっているアンバーの採掘準備室では、朝礼が行われようとしている。横一列に並んだメンバー達の表情は真剣そのもので、皆、一同の前に立つ剣菱と穣を注視する。「皆さんおはよう!」「おはようございます!」 皆の元気な返事を聞いた剣菱は、右の...
2024.05.08 07:53第7章04 謎の人物 次の日の午前中。 護とカルロスはターさんの吊り下げ木箱に載って空を運ばれている。下を見ると山腹の街が点々と見え、山の上に近づくにつれて航空貨物船や、飛んでいる有翼種の数が多くなる。 やがて、やや大きな街が見えて来る。ターさんは「あれがコクマの街か。それにしても上の方のエネルギー...
2024.05.08 07:53第7章03 ケセドの街 死然雲海の浮島で、カルロスが雲海切りの練習をしている。 真剣な顔で黒石剣を構え、少し先の森を覆う白い霧に向かってバッと黒石剣を振り下ろすと、一瞬、霧が舞い上がり、徐々に消えて森の景色が現れる。「そうそうそんな感じ!」 カルロスの背後の上空に浮きながら、ターさんが褒める。カルロス...
2024.05.08 07:53第7章02 作戦会議 翌日、午前9時。 本部の駐機場に停まっているアンバーの採掘準備室では、剣菱とその隣に立つ穣の周囲に皆が集まり、穣が昨日SSFで周防先生から聞いた話を皆で聞くという長い『朝礼』が行われていた。いつもの朝礼とは打って変わって皆、真剣な表情で穣の話に耳を傾けている。 やがて穣は「……...
2024.05.08 07:51第7章01 周防先生 ある日の午後。 ジャスパー採掘船本部に程近い場所にある周防紫剣人工種製造所(SSF)。塀で囲まれたその敷地内には人工種製造施設を始め、居住棟であるマンションや、育成施設等がある。敷地はかなり広いが、しかし他の二つの製造所に比べれば規模は遥かに小さい。なぜならここは、個人が建てた...