第19章01 食べ盛り組と、道具屋の二人

 一方、飲食チームのカルロス側に集ったのは全部で9人。

 アンバーからは食べ盛りのマゼンタ、オーキッド、オリオンと、買い物よりもノンビリしたい悠斗と剣菱が、黒船からはカルロスにくっ付いて来た上総と、何か食べたい大和とオーカーが参加。男だけの集まりで、買い物チームに比べてゆったりと周囲を見ながら飲食店が並ぶ通りを歩いている。

 先頭を歩くカルロスが言う。

「今の時間、モーニングも終わってるし昼までやってない店もあるし、まぁ昼食まで甘いもん食ってお茶する感じだが……」

 カルロスの少し後ろを歩く上総が「俺、見知らぬ街を散歩してるだけでも楽しい!」と言い、その隣のマゼンタやオーキッドは「何でもいいから食い物ー!」と騒ぐ。

 オーカーが呆れたように「お前らどんだけ飢えてるん……」と苦笑。

 悠斗は剣菱と並んで皆の一番後ろを歩きながら「小洒落た店ばっかだなぁ。なんか高そう」と周囲を見回す。

 カルロスは振り向いて「いや高くはないぞ。護たちが行った通りの店より安い」

「ほぉ」

「ただ外観がお洒落なんだよ、全体的に」

「うん」悠斗は頷いて「ジャスパーなんて採掘都市だから洒落っ気無いもんなー」

 すると剣菱が「ここも石屋が集った採掘都市だぞ」と口を挟む。

「あ、そうだった」

 少し歩くと上総がバッと前方を指差して「スイーツの店を発見!」

 途端にマゼンタが「おっ探知したな! なんだなんだどんなスイーツ?」と食い付く。

「今は探知してない、楽しみが薄れる! あれが見えた!」

 上総が指差す先を見ると、アイスの絵が描かれた看板が。

「アイス!」

 マゼンタとオーキッドが同時に言い、二人はカルロスに「アイス屋行こうよ!」「アイスー!」と騒ぎだす。

「わかったわかった」

 その様子にオーカーが笑う。

「子供かお前らは……」


 一同が店内に入ると、そこは飲食スペースもあるオシャレなジェラート店。開店したばかりの時間なので客はまだ居らず、席は空いている。

 マゼンタ達はアイスショーケースの中を見つつ「色々ある!」と目をキラキラさせる。

 オリオンが「珍しい、トマトとかカボチャとか野菜のがある」と言うと、隣のオーキッドが「変わったのも食いたいけど定番も食いたい」と言い、マゼンタは「よし店の人に聞こう!」と言って若い女性の店員に「オススメどれですか!」と尋ねる。

「何か試食してみます?」

「試食できるの? カボチャ下さい!」

 上総も「俺、人参のアイスの試食……」と言い掛けて「いや、試食しないで買うチャレンジしてみる! 当たるか外れるか」

 マゼンタが「おっ、ギャンブラー」と上総を指差す。

 オーキッドも「俺も試食無しでチョコ一択! 鉄板で間違いない!」と言い、オリオンが横から「たまには間違えて変わったモン食ったら?」

「えー」

 店員はマゼンタに、小さな木のスプーンに乗せた試食のカボチャジェラートを渡す。

 マゼンタはそれを食べて「うっまいコレ!」

 それを見たオーキッドは「やっぱ俺も試食しよかな……」

 カルロスは何となく店員に「うるさくてすみません」と言ってから、入り口近くに立っている剣菱と悠斗を見て「何か食べます?」と尋ねる。

 悠斗は「アイスはいいや」と言い、剣菱は「俺も要らないけど、ちなみに食べ歩きするの? それともここで食っていくの?」

「席が空いてるからここで食べてもいいですが、食べ歩きも出来ますよ」

「食べ歩くとほら、食った後のスプーンとか捨てるのどうすんのかなと」

「もう少し行くと公園があって、そこでランチに弁当とか食べる人いるからゴミ箱ありますし」

「なるほど」

 テーブルは四人掛けが二つ。皆が座ると満席になるが、イェソドに来たばかりの身でアイス食べ歩きは何となく気が引ける。若い人工種のマゼンタ達だけならまだしも、自分が一緒だとちょっと……。

 剣菱はそう考え、「こいつら食うの早そうだから、食っていくべ。お客さんが来たら、席を立つって事で」と言う。

 カルロスは「じゃあそこの席に座って待ちますか」と言いつつ入り口の右側にある窓際の四人掛けテーブルに移動する。テーブルを挟んでカルロスの向かいに剣菱と悠斗が並んで座り、三人はマゼンタ達がアイスを買うのを見物する。

 最初に購入が終わったのはオリオンとオーカーで、どちらも小さなカップに盛ったジェラートを持って剣菱達の所へ来る。

「何のアイス買ってきたの?」と悠斗が聞くと、オリオンは「トマト」、オーカーも「トマト」と答えて「一番小さいの頼んだらカップになった」と言いながら木のスプーンでジェラートをすくって食べる。

 カルロスが「ここで食べて行くから、そっちのテーブル座って」と言うと、オーカーは「俺すぐ食べ終わるから立ってるっす」と言い、オリオンも「俺もこのままで」と言ってからオーカーに「これ美味いね、甘いトマト食ってるみたいな」

「うん、甘すぎずサッパリしてていい」

 話している所へ上総と大和がジェラートを盛ったコーンを持ってやって来る。

「何味を買ったの?」と悠斗が聞くと、上総と大和が一緒に「人参」と答える。

「今度は二人で人参か。何で人参?」

 上総は「珍しいから」と言い、大和は「試食した中で一番美味かった。カボチャは僕には甘すぎた」

 続いてマゼンタとオーキッドがコーンに大盛りのジェラートを持ってやって来る。剣菱がそれを見て言う。

「もしかしてダブル買って来たんか」

 二人は「うん」と頷き、マゼンタが「俺、カボチャとトマトの健康的なダブル盛り!」オーキッドは「俺はチョコとミルクで不健康」

「不健康て!」

 皆、笑ってしまう。悠斗は店員まで笑ったのを見てコソッと「店の人まで笑ってるし!」

 剣菱は「じゃあそこの四人、そっちのテーブル座って食べろ」と言い、上総と大和、マゼンタとオーキッドは席に着いてジェラートを食べ始める。


 暫くして、店から出て来るカルロス達一同。

 再び通りを歩き出すが、マゼンタとオーキッドだけはまだコーンを持ち、少し残ったジェラートを舐めたりコーンを齧りつつ道を歩く。カルロスが歩きながら言う。

「そういや有翼種は飛びながら食べるのは禁止で、食べながら移動する時は、地上を歩けと」

 大和が「なるほー」と頷く。

 悠斗は「まぁ上からアイスとか落とされたら困るしな」と言い、剣菱は上を見て「確かにここは皆が飛ぶから上からの落下物には気を遣うよなぁ」と言う。

 カルロスは「実はこの上に、バリアがあります。見えないけど」と上を指差す。

「上に?」

「はい。エネルギーのフィールド……落下速度を落とす奴だそうで。翼で飛んで移動する時は、そのバリアの上に出て飛ぶ事になってる」

「上に出るにはどうすんだ」

「上下に通り抜けは出来るんですよ。やり方は分かりませんが。ターさんに説明されたけど理解できなかった。まぁ有翼種独特の方法というか何というか」

「ほぉ……。お、オーキッド君、アイス食い終わったな」

 剣菱は目の前のオーキッドを見る。

「うん、美味かった」

 マゼンタもコーンを食べ終わって言う。

「俺も食い終わった美味かった。ここはアイス食べながら歩いてても管理へ通報されないからお気楽で良い!」

「あぁ……」

 若干暗い顔になって溜息をつく剣菱。

「向こうだと、うるさい人々が居るもんなぁ……」

「うん! 管理に通報まで行かなくてもネットに色々書かれる。人工種がファミレスでダラダラしてるとか、アチコチ食い歩いてるとか。別にそんなに食ってないのに!」

 上総やオーキッドが「そうそう」と頷き、上総が言う。

「そんでもって後で管理さんから、ネットにこんな事書いてあるが、って来る」

 マゼンタは嫌そうに「そーうなんだよー!」と言ってハァ、と大きな溜息をつく。

 カルロスは「イェソドでも人工種は珍獣扱いされるが、しかしジャスパーの、何というかギスギスした感じとは違うんだよな……」と言ってから「まぁイェソドの場合は、そのうち皆、慣れて珍獣扱いも無くなる。最初の護が一番大変だったんだ」

 そこへ「むしろ今は人間の方が肩身が狭い」と剣菱が呟く。

 カルロスは「あぁ」と気づいて「そうでした。確かに人間は……」

 剣菱が言う。

「でもここには管理みたいな存在が居ないから、ジャスパーの、人工種の皆とは比較にならん」

「それはまぁ……」

 話を聞きつつマゼンタがニコニコして「俺は今メッチャ楽しい」と言い

「皆で旅行とか、皆で食いに行くとか、しかも管理さんいなーい!」

 オーキッドも「いなーい!」上総も「いっなーい!」と繰り返す。

 オリオンが笑って「子供か」と呟き、オーカーも「マジ子供っすね」と笑う。

 悠斗は黙々と歩いている大和を見て「大和君は、静かなのに」

 その呟きを聞いた上総は「俺がこんなだから静かな奴になったっぽい。俺の一つ下、コイツ」と大和を指差す。

「あぁ。君の下だと忍耐力が鍛えられそう」

「え。それってどういう……」微妙な顔になる上総。

 剣菱は、楽し気に騒ぐマゼンタ達を見ながら言う。

「とりあえず人工種はもうちょっと強くならんとな。その為にもイェソドで力をつけて、心に余裕を持たせて、それで向こうに戻ると。……まぁ、すぐに管理さんが変わらないとしても、アッチとコッチを行き来しながら色々やってれば、いつかは対等になれる時が来るんじゃないかと俺は思うんだ」

 悠斗が「ですねぇ……」と頷く。

 話している間に右側に小さな公園が見えてきて、大和が目敏く「あ、なんか出店がある」と公園入口脇の小さな露店を指差す。店頭には妖精の絵が描かれたタペストリーが吊るされている。

 カルロスが言う。

「妖精クッキーだ」

「ナニソレ」

「行けば分かる」

 一同は店の前へ。カルロスは「お前ら食べるんだろ、買ってやる」とサイフから小銭を取り出す。

 大和が「わーい」オーキッドが「やった!」マゼンタが「サンキューです!」上総とオリオンが「ありがとうございまーす!」と喜び、カルロスがクッキーを買ってくれるのを嬉しそうに待つ。

 その様子を見て悠斗が「なんか親子みたいだなぁ」と微笑むと、剣菱が「せめてお兄さんにしようや。でないと俺がじーさんになってマゼンタ達が孫みたいな気分になって来る」

 笑う一同。悠斗は「ああー。いいお兄さんだ」と言い直す。

 カルロスは微妙な顔をしつつ店員の女性に「ごちゃまぜ袋を二つください」と注文し代金を差し出す。店員はそれを受け取り、クッキーの入った手のひらサイズの紙袋を二つカルロスに渡しながら「飛びながら食べないでね……」と言って「あらまぁ」と驚くと「人工種さんだった」

 マゼンタが「人間も居ますよ!」と剣菱を指差す。

「えっ、人間?」

 店員は少し驚いた顔をして「随分と普通なのね」と呟く。

 思わずアハハと苦笑してしまう一同。カルロスが言う。

「普通ですよ、人間も人工種も人によって色々で、普通な人は普通です。今日は単に皆と普通に街歩きしてるだけです」

 店員は恥ずかし気に「そうよねぇ、有翼種も色んなのが居るからね、普通な人は普通よねぇ」と言い「ごめんなさいね私、人間さんの事よく知らなくて。じゃあオマケに小袋を一つ、あげちゃおう。どうぞ!」と小さ目の袋をカルロスに差し出す。

「え。いいんですか?」

「うん、これクジで当たった人にあげるやつだけど、和解の印って事で」

 カルロスは店頭に吊るされた宣伝のタペストリーを指差して

「あ、この3袋買ったら1回引けるって奴ですか」

 店員は笑いながら

「そうそう。まぁいいからこれ貰って。その代わり人工種さんと人間さんの仲間に妖精クッキーの宣伝して」

 カルロスも笑みを浮かべてお礼を言う。

「ありがとうございます、宣伝しときます」

 小袋を受け取るカルロス。マゼンタ達が「やったぁ!」「ありがとー」等と喜ぶ。

 店員も嬉しそうに「ようこそイェソドへ! 楽しんでねー」

「はぁーい」

 カルロスは袋を一つ、マゼンタに差し出して「じゃあこれは、そっちの子供組で食べて」と言い、もう一つの袋をオーカーに差し出しつつ「こっちは大人組で」

 マゼンタは「すっかり子供扱いされた」と言いつつ袋を受け取り、袋の口を開け、皆の前に差し出す。

 オーカーも袋を受け取り、口を開けるが、剣菱が「俺が持っといてやるか、一番大人ですから」と言って手を差し出し、オーカーは剣菱に袋を渡す。

 カルロスはオマケで貰った小袋の口を開けると「ここからも取って」と皆の前に差し出す。

 上総はカルロスの袋から、オーキッド達はマゼンタが持つ袋から、悠斗やオーカーは剣菱が持つ袋から、それぞれクッキーを取り出すと、丸い妖精やゴツゴツした妖精の形の小さなクッキーを見て「カワイイ!」と声を上げる。

 剣菱もクッキーを見ながら「これは食べるのが可哀想になるほど可愛いクッキーだな」と言っているその横で、早速一つ口に入れた悠斗が「しかも美味い、なんか珍しい味、俺これ好き」と言いつつ剣菱が持つ袋に手を伸ばして妖精クッキーを三つ取り出すと、一気に口の中へ。剣菱はそれを見て「三匹一緒に食うなや、可哀想やん」

「だって小さいから口に入るんですよ。しかも混ぜるともっと美味い」

 カルロスは悠斗を見て「そう、これ妖精ごとに味が違うから単体で食ってもいいんだけど、ミックスするともっと美味い。しかも色んな味が楽しめるという」そこでふと、マゼンタの持つ袋を見て「速攻で少なくなったな」

「だってオリオンがバクバク食うから」

 マゼンタに指差されたオリオンは

「いや、だってこのクッキー、混ぜて食うと美味い」

 カルロスは「その辺のベンチに座って食おうと言う間もなく、クッキー無くなりそうな……」と呟いてからマゼンタを見て「ランチタイムまでまだ少し時間がある。ここでゆったりして行くか、別の店で何か買って食うか、この近くのカフェ行くか、どれがいい?」と尋ねる。

「カフェ! だって船長がゆったり出来るから」

「お」

 若干驚く一同。剣菱は「お前、珍しいこと言うな」

 ウヒヒと笑ったマゼンタは

「ってか俺がカフェでスイーツ食いたいから!」

 オーカーが「またスイーツ……」と苦笑し、カルロスは「まぁ本来は食後に行くべき所のような気もするけど、とりあえず石茶の無い普通のカフェだから、船長もコーヒーとか飲めますよ」と言い「マゼンタ君は軽食でもスイーツでも自由に食っていいけど、ただ腹具合は調節しといた方がいいぞ。昼は色んなモンがガッツリ食える店に行くから」

 マゼンタは元気に「了解っすぅー!」と返事。

 オーカーも「やった、俺、ガッツリ系、食いたい」とニッコリ。

「じゃあクッキー食べながら行きましょう」と歩き出すカルロス。

 上総やマゼンタ達はカルロスの持つ袋からクッキーを取りつつ、悠斗達は剣菱の持つ袋からクッキーを取りつつ、食べながら公園を出て歩き始める。

 剣菱が何気に呟く。

「しかしスイーツと言えば透だよな。あいつ食い物に来るかと思ったらアクセ行ったのか」

 オリオンが「アクセも大事なんでしょ」と言い、カルロスが「護と一緒にアクセ屋に行ったと思いますよ」と言った途端、皆が「エッ」と驚く。

「護が、アクセ屋に? ……道案内だけで中には入らんだろ」

 怪訝そうに言う剣菱に、カルロスは

「入りますよ、あいつ。以前、連れていかれた」

「護がアンタをアクセ屋へ?」

「しかも強制的にブレスレット作らされた」

「えぇ」

 皆、目を丸くして驚き、剣菱がしみじみと呟く。

「……あいつ本当に変わったな……」



 所変わって穣とジェッソが行ったレイモンドの道具屋。

 店内の壁に立て掛けられたスコップやツルハシ等を興味深げに見ている穣。その隣でジェッソは真剣にレイモンドの説明を聞いている。

 レイモンドはケテル石で出来たスコップを手に取ると、ジェッソに渡して「これはどう?」

 ジェッソはスコップを持ち、大きさや重さ、持ち手の握り易さを確かめる。

「おお。さっきのと同じなのに持った感じが違う」

「ケテル石ではあるけど、石がちょっと違うんだ」

「ほぉ……」ジェッソは感心して「結構変わるもんですね」

 レイモンドはしげしげとジェッソを見ながら

「貴方に斧を持たせたら、太い鉱石柱を一気に切れそうだけどな」

「私はスコップがいいんです。かなり大きなスコップが」

「どの位の?」

 ジェッソは持っていたスコップを壁に立て掛けると、腕を大きく広げて言う。

「この位の幅があるといい」

「そんなに?」

 レイモンドは目を丸くして「いつもそんなの使ってるの?」

「はい」

 穣が横から「コイツ、特注のバカでかいスコップ使ってるから」とジェッソを指差す。

 レイモンドは「そんな大きなスコップは作った事がないなぁ。でも、石を持ってきたら作るよ」と言い、ジェッソは「つまり自分で石を採って来る?」と尋ねる。

「大体の人は自分で採って持ってくるけどね。別に石屋で買ってきてもいいよ。要は自分に合う石に出会えばいいんだ」

 穣が怪訝そうに「出会う?」

「うん。石と共鳴するというか。惹き合う」

「もしもその石がスゴイ高くて買えなかったら?」

「どうしても欲しいならいつか頑張って買うだろうし、諦めるなら別の出会いがあるし。まぁ、何とかなるって事だ」レイモンドは笑う。

「なるほ」

 穣はジェッソに「じゃあ早速、石との出会いを求めるか」と言い、「うん」と言い掛けたジェッソはレイモンドに「あっ、スコップを作るにはどの位の大きさの石が必要なんですか?」と尋ねる。

「作りたいスコップの大きさより、やや大きく……書いた方がいいな」

 レイモンドは近くの作業台の上にあったペンとメモ用紙を取ると、図を描き始める。

 ジェッソが「ちなみに費用はどの位かかりますか?」と問うと、レイモンドはメモを書きつつ「あー……持ってきた石と、大きさによるなぁ。普通のスコップだと基本3000ケテラから作るけど。じゃあ普通のスコップの何倍の大きさかって事で考えて、大体1万5000かな? とりあえずは」と答える。

「了解しました」

 穣がボソッと「頑張って稼がないとなー」と呟く。

 その言葉にレイモンドが「あ、そうか」と気づくと、「……まぁ代金は後払いでもいいし」と言いつつ書いたメモをジェッソに渡す。

「必要な石の大きさ、書いたよ。わかる?」

 ジェッソはメモを見て「わかります」と頷いてから

「今後また有翼種の皆さんと一緒に採掘すると思うので、資金が貯まったらその時に」

 続けて穣が「まずは石屋でどんな石がどの位の値段なのか見てきます」と言う。

「うん。行ってらっしゃい」

 穣はジェッソに「行こうぜ」と言い、ジェッソは微笑みを浮かべてレイモンドに「お陰様でイェソドでの個人的な目標が出来ました。ではまた!」と言って穣と共に店を出る。