2024.05.08 07:53第7章04 次の日の午前中。 護とカルロスはターさんの吊り下げ木箱に載って空を運ばれている。下を見ると山腹の街が点々と見え、山の上に近づくにつれて航空貨物船や、飛んでいる有翼種の数が多くなる。 やがて、やや大きな街が見えて来る。ターさんはそこに近づきつつ「あれがコクマの街か。それにしても上の方のエネルギーが凄い……。ここでこんなエネルギーって事は、山頂はどんななんだろ...
2024.05.08 07:53第7章03 死然雲海の浮島で、カルロスが雲海切りの練習をしている。 真剣な顔で黒石剣を構え、少し先の森の中に広がる白い霧に向かってバッと黒石剣を振り下ろすと、一瞬、霧が舞い上がり、徐々に消えて、周囲の森の景色が現れる。「そうそうそんな感じ!」 カルロスの背後の上空に浮きながら、ターさんが褒める。カルロスは少し疲れたように溜息をつくと「やっと何とか雲海は切れるようになっ...
2024.05.08 07:53第7章02 翌日。 本部の駐機場に停まっているアンバーの採掘準備室では、剣菱以下全員が集まり穣の話を聞いている。 剣菱は腕組みをすると「一体、管理は何を隠してんだと思っていたが、凄いモン隠してたな」 ネイビーも「予想の斜め上を行く凄さだった」と呟く。 マリアは「管理が捜索をやめたのはそういう事だったのね」と言い「でも、そこに一人で行っちゃうカルロスさん、凄いなぁ……」...
2024.05.08 07:51第7章01 ある日の午後。 ジャスパーの採掘船本部に程近い場所にある、周防紫剣人工種製造所(SSF)の門の前に、スーツ姿でハチマキの無い穣が一人、菓子折りの入った白い紙袋と黒いクラッチバッグを持って落ち着かない様子で立っている。 (いよいよこの時がやってきた……周防先生に会う!うぅ緊張爆裂ぅっ!) 上体を反らして天を仰ぐと、お辞儀になるほどハァーッと大きな溜息をついて...